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コラム

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#子どもの心と体

作成日 2019/01/18

更新日 2019/01/25

シュタイナー教育の特徴とは?子どもにどう影響する?

感性を育む子ども
あなたは「シュタイナー教育」という教育思想を聞いたことがありますか?学生のときに勉強したような……名前は聞いたことがあるような……そのような方も多いのではないでしょうか。
シュタイナー教育とは、ルドルフ・シュタイナー博士が提唱した教育思想のひとつです。「どこかの外国の子どもたちが受けている教育かな?」と思われるかもしれませんが、実はシュタイナー教育を取り入れている幼稚園や小中学校、高等学校などの教育機関は日本にもあるのです。

シュタイナー教育の具体的な思想やどのような教育がおこなわれているかをご紹介していきます。また、子どものどのような育ちを目指している教育なのかもあわせてご紹介します。


目次
シュタイナー教育とはどんな教育法?
シュタイナー教育の特徴(1)4つの構成体
シュタイナー教育の特徴(2)4つの気質
シュタイナー教育の特徴(3)七年期説
シュタイナー教育の子どもへの影響は?
シュタイナー教育を取り入れる際の注意事項
シュタイナー教育を十分に理解して保育へ取り入れよう


シュタイナー教育とはどんな教育法?


シュタイナー教育について勉強するフクロウ

シュタイナー教育は、かつて存在したオーストリア帝国(現在のクロアチア)出身の哲学者・思想家のルドフ・シュタイナー博士(1861 ~ 1925年)によって提唱された教育思想です。シュタイナーの人間に対する考え方がシュタイナー教育のねらいとして掲げられています。

シュタイナーは、人間は「からだ」と「こころ」と「あたま」のバランスが整っていることが大切であると考えました。子どもが大人になったときに、身体だけが発達し過ぎていることも、感情的になり過ぎていることも、論理的思考であり過ぎていることもよくない、ということです。その考えから派生したシュタイナー教育のねらいは「心と体を含めた全人教育を施し、自由な意志で動いていける人間を育てること」とされています。

「からだ」と「こころ」と「あたま」のバランスを整える。簡単そうで実はとても難しいことです。ではシュタイナー教育ではこれらを具体的にどのように考えているのでしょうか。


シュタイナー教育の特徴(1)4つの構成体


4つの構成体
シュタイナーは、人間の成長は「物質体」「生命体」「感情体」「自我」での4つで形づくられていると考えました。
それらを「4つの構成体」と呼び、発達年齢によって形成される構成体が異なるとしています。シュタイナーは、人間が成長することはすなわち、この4つの構成体が成長することであると考え、人間はこれらを基盤として意志や感情、思考の力を得ていくとしました。ここでは、4つの構成体の具体的な内容を紹介します。

● 物質体:0歳に形成
物質体は0歳のころに生まれる、としています。物質体とは、物体としての私たちの身体そのもののことをさします。私たちの身体も、地球の引力の法則にしたがって、上から下へ落ちる鉱物界の物体のひとつである、としています。

● 生命体:7歳前後に形成
7歳前後に形成されると言われているのが生命体です。生命体は引力の法則に逆らって下から上へ伸びようとする力のことを言います。この時期の子どもには、成長や繁殖に関する力がつくられると考えられています。

● 感情体:14歳前後に形成

感情体は14歳前後に形成される、快・不快が伴った動きのことを言います。人間の喜怒哀楽のことでもあるとしています。

● 自我:21歳前後に形成
シュタイナー教育では21歳前後に形成されるのが自我だと考えられています。自我と「私」という自己を持つということ、また、考えたり話をしたりすることである、とされています。


シュタイナー教育の特徴(2)4つの気質


それぞれ異なる気質を持つ子どもたち
シュタイナーは人間の気質を生まれながらにして持っている「個性」と親からの「遺伝」との混合だと唱えました。そして、子どもの気質を4つのタイプに分けました。ここでは、その4つの気質の具体的な内容と気質ごとに合わせた接し方について述べていきます。


ひとつ目の気質:胆汁質

● 胆汁質の子どもの気質
・自己主張がはっきりとしており、意志が強い
・決断力や行動力がある
・思いが通らないと癇癪(かんしゃく)を起こしやすい
・些細なことで周囲と衝突を起こしやすい
・周囲の人から認められると能力を発揮しやすい
・歩き方は、土を踏みしめるようにしっかりと歩く

● 子どもへの接し方
子どものしていることに目を向け、十分に褒めることを大切にしましょう。また、少しハードルが高めの課題を与えたり、その子どもにとって尊敬できる大人をそばに置いたりすることで、自制心を育てることが重要です。エネルギーがあるので、そのエネルギーを発散させる場所が必要になってきます。


ふたつ目の気質:憂鬱質

● 憂鬱質の子どもの気質
・考え方がネガティブである
・敏感で傷つきやすい
・社交的でなく孤独を好む
・自分に対しての関心が強い
・探求心がある
・想像力が豊かである
・歩き方は重く、引きずるように歩く

● 子どもへの接し方
大人が辛い体験を話したり、困っている人を助けるように働きかけたりして、他者の気持ちに共感する心を育てていきましょう。そのような経験が少ないと、孤独感を抱きやすい傾向にあります。探求心や想像力があるので、その点を十分に伸ばすことを心がけて接することが大切です。


3つ目の気質:粘液質

● 粘液質の子どもの気質
・休んだり、食べたりすることが好きな傾向にある
・おっとりした性格である
・指示を正確にこなすが、時間がかかりやすい
・やる気が出ると、持久力がある
・周囲の人から注目を浴びることが苦手である

● 子どもへの接し方
大人に執拗に構われることを嫌うタイプなので、普段はそっとしておくことが望ましいでしょう。穏やかな態度で、気づきを与えるような働きかけが有効です。たとえば注意をする際には、ただ注意をするのではなくどうすればよかったのかを投げかけ、子ども自身に考える機会を与えるようにするとよいでしょう。


4つ目の気質:多血質

● 多血質の子どもの気質
・好奇心旺盛で楽天的である
・考え方がポジティブである
・陽気な性格で、人に対して優しい
・快、不快、喜びや悲しみに対して敏感である
・飽きっぽい面がある
・歩き方はとびはねているように軽やかに歩く

● 子どもへの接し方
落ち着きにくい性質があるため、静かで物事にじっくり取り組める環境を与えましょう。また、大人がゆったりとかかわることも必要です。好奇心旺盛な気質を活かし、さまざま分野の課題を多く与えることで集中する時間を増やす、という方法も有効的でしょう。

シュタイナー教育の特徴(3)七年期説


七年期段階

シュタイナー教育では、人間は7年ごとに成長の節目があると言われています。生まれてから成人となるまで、つまり0 ~ 21歳の時期を3つに分けて考えます。それぞれの時期の課題と重要視されている学びについて具体的に紹介します。


第1_七年期:0歳 ~ 7歳

この時期は身体をつくり、「意志」をはぐくむことを課題としています。幼児期にしっかりとした身体をつくることで、意志力や行動力を生み出すことができるという考え方です。
この時期の子どもはさまざまなことを吸収していきます。たとえば、きれいなものを見たら、きれいな心が育ち、おいしいものを食べたら、おいしさの味覚が育つなどというものです。このような理由から、子どもが吸収してもよいものを厳選して、身の回りに置くようにします。


第2_七年期:7歳 ~ 14歳

この時期は身体の次に心を育てることに重きが置かれ、「感情」の成長が課題となります。さまざまな芸術的な刺激を与えることが重要であるとされており、そのような体験を通して「世界は美しいものだ」と感じることが必要であるとしています。
将来は思考力も必要ですが、豊かな感情を持つ大人になることを目指し、子どもの心が揺さぶられるような感情体験を重要視した教育が行なわれます。


第3_七年期:14歳 ~ 21歳

この時期は「頭」を育てる時期であると言われています。ここで言う「頭」とは思考力や知力、判断力のことを差し、抽象的な概念や思考力によって世界についての認識を深めることが重要であるとしています。この時期には、子どもを長所も短所もあるひとりの人間として接することが大切であると言われています。


以上のように、3つに分割された七年期で、人は「意志」「感情」「思考」を順序よく身につけることが必要であるとシュタイナーは説いています。さらに、それらをバランスよく獲得した人を「自由を獲得した人」であると言っています。ここでいう「自由」とは自由奔放に生きるという意味ではありません。成人し外の世界へ出ていくときに、自分自身で考え、その考えに自分の感情が込められており、しかもその考えたことを実行するという一連の状態こそが自由である、という考え方なのです。 


シュタイナー教育の子どもへの影響は?

子ども
シュタイナー教育は一見、教育熱心な家庭の子どもが受ける教育のように感じられるかもしれませんが、そのようなことはありません。むしろ、幼児期で行なう早期教育には否定的です。では、このような思想であるシュタイナー教育を受けた子どもはどのような傾向を持つようになるのでしょうか。

シュタイナー教育を実践している園では、自然や色彩、音楽などからのアプローチに力を入れています。大人が教え込む教育ではなく、環境や芸術面から子どもたちが自分で感じ取ること、また一人ひとりの子どものタイミングで成長することなどを重要視しています。たとえば自由遊びの時間を多くとることで、子どもは自由に遊ぶ中で自分なりに考えて遊びを創り出す経験を積みます。
また、五感をつかった体験が日常的に行なわれているので、豊かな感受性がはぐくまれます。さらに、子どもの使う道具や保育室の環境づくりにおいても、自然素材のものや子どもが安心する色のものを取り入れています。こうすることで、子どもは感性が磨かれたり、安定した気持ちで過ごしたりすることができます。

このような点に重点を置いたシュタイナー教育を受けた子どもは、豊かな感性をもち、自分で考えて行動する人間になると言われています。


シュタイナー教育を取り入れる際の注意事項

シュタイナー教育で気を付けるポイント
シュタイナーの思想から生まれたシュタイナー教育。そのシュタイナー教育の思想を遊びや学びに取り入れる場合、少し配慮が必要です。

注意事項(1)学習方法のあり方

シュタイナー教育を行なう学校では、独自の遊びや学びの方法がとられています。幼児期には縦割りでの異年齢保育を実践しています。シュタイナーの思想に基づき、早期の知的教育を避けるため、テレビやゲームなどが基本的に禁止です。また、保育所や幼稚園でよく使われる絵本や紙芝居は用いず、先生の語りのみでお話を楽しみます。

さらに小学校・中学校・高等学校といった区切りがなく、12年制の一貫教育が行なわれています。1年生から8年生は同じ先生が担任をします。さらに9年生になると、3 ~ 4週間のサイクルで毎朝100分間、同一教科を連続で集中的に学ぶ「エポック授業」と言われる授業が行なわれます。エポック授業では、一般的な学校で使用されているような教科書は使いません。自身が学んだことや経験したことなどをノートに記録することで、自分の教科書を作っていきます。また、シュタイナー教育には点数を付けて評価をする考え方がないので、学習の理解を確認するためのテストも行ないません。

このような教育方針から、シュタイナー教育は子どもがのびのびと育つ、という考え方がある半面、一般の教育に比べると勉強の進度が遅れてしまうのではないか、という声もあるようです。


注意事項(2)思想にとらわれすぎないこと

シュタイナー教育の思想そのものにとらわれすぎないようにすることも、配慮が必要な事項のひとつです。たとえば、テレビを見せない、キャラクターものを避けるなどの考えは現代の社会ではなかなか難しい面があります。このようなルールを厳しく守ろうとするあまり、子ども本来の姿や成長に気づかなくなってしまったり、周囲から孤立してしまったりする恐れがあります。あくまでも教育の主役は子どもです。そのことを忘れずにうまく取り入れていくようにしましょう。


シュタイナー教育を十分に理解して保育へ取り入れよう


お絵描きで感性を育む子ども

この記事では、シュタイナー教育での子どもの捉え方や大人のかかわり方を詳しく説明してきました。シュタイナーは「○○をしない」「○○は避ける」という表現をすることが多いので、さまざまなことを制限しているような印象を受けることがあります。しかし、じっくりとその思想を知っていくと、そこにはしっかりとした理念があり、目指すべき子どもの姿が浮かんできます。

たとえばテレビもずっと見てはならない、ということではありません。子どもが第3・七年期にさしかかる14 ~ 21歳になれば、「頭」を育てる時期になるので、テレビやパソコンなどのメディアから必要な情報を得ることもあります。子どもの年齢や時期を見極めて、適切な遊びや学び、時には刺激を与えていくことが重要だと言われています。このようにシュタイナー教育を取り入れる場合は、その意味やねらいを十分に理解し、子どもの姿と照らし合わせながら保育をするように心がけましょう。

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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて、園長経験6年、保育経験延べ30年のベテラン保育士。
当社で園長職を勤めたのち、当社運営の保育施設の総合管理を担当。現在は研修など保育士の人材育成に注力している。

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