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#保育士の働き方

作成日 2023/10/23

更新日 2023/10/23

【経験・場面別例文集】保育士の自己評価の書き方とは?目標設定と反省の仕方についても解説

保育士の自己評価を紹介するボード

「自己評価」「チェックリスト」「振り返り」など、さまざまな名前で呼ばれている保育士さんの自己評価。初めて行なう保育士さんにとってはもちろん、何度も経験している保育士さんでも、目標設定や振り返りをどのように書こうかと戸惑うことが多いものです。このコラムでは、目標の設定から振り返りまで具体的な例文を紹介しながら説明します。

また、自己評価に苦手意識を持っている保育士さんは、そもそもの部分である自己評価とは何のためにあるのか?という背景を知ることで、気持ちが楽になるかもしれません。自己評価の趣旨とその目的についても、併せてご紹介します。

目次

保育士が記載する自己評価とは

自己評価とは、保育士が子どもの理解を基に保育を振り返り、自分の保育の良さや課題を捉えて、次の保育に活かしていくために行なうものです。※1から引用
目標を立てて、一定期間後それについて振り返り、その反省を踏まえてよりよい保育の実践を行なおうとする一連のプロセスだと言えます。

2008年に告示された保育所保育指針で保育士の自己評価が努力義務となり、2017年に改定された保育指針では保育内容の評価とそれを踏まえた計画の改善が示されました。

保育所保育指針で求められ、それを具体化した「保育所における自己評価ガイドライン」※2 が作成されたことが後押しとなり、自己評価を取り入れる保育園が増えています。

※1 厚生労働省HP 保育をもっと楽しく 保育所における自己評価ガイドラインハンドブック(以下、本文ではハンドブックと記載)
※2 厚生労働省HP 保育所における自己評価ガイドライン(2020 年改訂版)(以下、本文ではガイドラインと記載) 

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目的

自己”評価”と聞くと、ペーパーテストのように〇×をつけて、減点方式で過去を判定するためのものを思い浮かべるかもしれません。でもそれは大きな誤解で、この評価は未来でより良い保育を実践するためにあるものです。

子どもについての理解を豊かなものとし、自分たちの目指す保育を実現していけるように日々の保育の意味を考え、次のより良い保育へとつなげるために行なうのが、この自己評価です。

重要性

自己評価は、主に2つの視点で重要です。

保育の質の向上

自己評価を定期的に行なうということは、計画と実践を繰り返すことになります。これは、自分のよさや改善すべき点、課題に気がつくことにもつながります。このことから、計画と実践を繰り返すことは、保育士としての専門性の向上に重要な意味を持つといえます。

子どもの理解

自己評価の出発点は、実際の子どもの姿を通して、一人ひとりの思いやその子らしさ、今育ちつつあることなどを、保育士が理解しようとすることにあります。

自己評価を行なう中で、大人の勝手な解釈ではなく「子どもにとってどうなのか」と保育のありようを考えることは、子どもの良さや可能性を捉えることにつながります。

保育士は、子ども一人ひとりのできた・できないなど結果だけをみるのではなく、興味や関心、取り組みなどの過程を理解することが大切です。自己評価を行なうことで、より子どもたちの育ちとニーズを把握し、適切な働きかけをすることができます。

目標を立てると振り返りしやすい

PDCAサイクルという言葉を聞いたことはありませんか?Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の4つのステップからなり、さまざまな業界・仕事内容において業務の改善に役立つ考え方です。

保育士さんの自己評価にも活きる考え方なので、あてはめてみます。

保育士のPDCA例

目標や計画をたてる(Plan)

日々の保育で実践する(Do)

振り返る(Check)

保育の向上や改善に役立てる(Action)

再度Plan を繰り返す

目標がないまま過ごした期間の反省や振り返りは、何について考えればよいのかその取っ掛かりがないため、やりにくいものです。PDCAの4つのステップをひとつのまとまりとして捉えた上で、まずは目標を立てましょう。

自己評価は反省を継続することが大事

上でご紹介した通り、目標は立てて終わりではありません。日々の実践や確認、改善まで行なうのが1セットです。そして、1セットやれば終わり・Action(改善)まで行なえば終了ではありません。Action(改善)の次は再度Plan(計画)につなげて何度も繰り返すことで、効果が何倍も高まります。

なぜ繰り返すことで効果が高くなるのでしょう。1セット目での反省点や課題を踏まえて、2セット目でより自分に合った目標・計画を立てて実行すれば、1セット目よりも高いゴールを目指すことになります。少しずつ無理なくハードルを上げていくことで、振り返ると大きな成長を遂げた自分に気が付けるはずです。ハンドブック※1 にも、”結果を「ゴール」ではなく「プロセス」として捉える”という記載があります。

※1 厚生労働省HP 保育をもっと楽しく 保育所における自己評価ガイドラインハンドブック

保育士の自己評価シートの項目とは

自己評価シートは、各保育園で作成することもあれば、外部で作成されたものを利用することもあるため、各施設毎に形式は異なります。チェックリスト形式の園もあれば、文章にまとめる形式の園もあります。

ただし、基本的な観点・考え方はどの園も同じです。ガイドライン※2 に記載されている観点は、以下の3つです。

※2 厚生労働省HP 保育所における自己評価ガイドライン(2020 年改訂版)

Ⅰ 保育の基本的理念と実践に係る観点

この観点は、子どもの理解と保育の実践と言えます。内容例は下記の通りです。

  • 子どもの最善の利益の考慮
  • 子どもの理解
  • 保育のねらい及び内容
  • 保育の環境(人・物・場)の構成
  • 保育士等の子どもへの関わり(援助・行動・言葉・位置・タイミング・配慮等)
  • 育ちの見通しに基づく保育

Ⅱ 家庭及び地域社会との連携や子育て支援に係る観点

この観点は、保護者対応と地域との連携と言えます。内容例は下記の通りです。

  • 入所する子どもの家庭との連携と子育て支援
  • 地域の保護者等に対する子育て支援
  • 地域における連携・交流

Ⅲ 保育の実施運営・体制全般に係る観点

この観点は、同僚職員との関わりや運営に関わるものと言えます内容例は下記の通りです。

  • 組織としての基盤の整備
  • 社会的責任の遂行
  • 健康及び安全の管理
  • 職員の資質向上


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【経験別】保育士が記載する自己評価の例文

経験年数毎に「求められるもの」「乗り越えたいハードルの高さ」は異なります。ここでは、経験年数を目安にして、それぞれの立場での例文をご紹介します。

【経験1~3年】新人保育士

経験の浅い新人保育士さんは、社会人としての振る舞いができるようになり、仕事に慣れていくことが求められます。周囲の先生方の良い点を吸収できるように、学ぶことに貪欲になりましょう。

目標

  • 子どもの話を真摯に聞き、出来たことやうれしいこと、楽しいことをともに感じるようにする
  • 毎日行なう業務は、一人でできるようにする
  • わからないことはその日のうちに質問するようにする
  • 先輩の声掛けと自分の声掛けの違いを探し、なぜ先輩がそのようなやり方をしているのか考える

振り返り

  • 時間の余裕がないときも、子どもと目を合わせて対話し、笑顔で返すことができた
  • 子どもの言葉や行動の意味や背景を想像した上で、コミュニケーションを取った
  • わからないことを少しずつ無くしていくことで、一人で行なう業務も自信をもってできるようになった
  • 先輩や主任からの指示が出る前に動き出せるように努力した
  • 子どもの小さな成長をたくさん探し、それを保護者と喜び合うことができた

【経験4~6年】中堅保育士

中堅になると、後輩である新人の育成や自身のスキルアップ・ステップアップが視野に入ります。上の役職の先生の日々の業務を見ながら、自分が同じ立場だったらどうするかを考えてみましょう。

目標

  • 相談しやすい先輩になれるように、後輩にはわかりやすい言葉で伝え、フォローを必ず行なう
  • 子どもの小さな成長を見逃さずに記録に残すようにし、自分や保護者の振り返りに使えるようにする
  • 担当クラス以外の様子に興味を持つようにして、体調不良などによる急な配置変えで慌てないように努める

振り返り

  • 忙しいときほど、同僚への声掛けや指示・依頼は丁寧に笑顔で行なうことを心がけた
  • 意識しなくとも、毎日の気づきを記録に残せるようになった
  • 園全体の様子に気を配り、主任先生の次の指示を予想することで、実際の指示とは内容が異なっていても前ほど慌てずに対応できるようになった

【経験7年以上】ベテラン保育士

役職がついてもついていなくても、「何かあったらこの人に聞けばいい」と周囲が頼れるのがベテラン保育士さん。保育の質の高さはもちろん、園全体のことを考えて動くことも求められます。

目標

  • 「障がい児保育」「保護者支援・子育て支援」の2つのスキルアップ研修に参加し、修了する
  • 園全体の安全衛生・安全管理に関する改善提案を6件以上提案し実現する
  • 保育士全員の残業時間10%削減を目標に、共通業務の整理や効率化を進める

振り返り

  • 研修に参加して得た知識を自分だけのものとせず、他の先生方にキャリアに合わせて伝えることで、園全体のスキルの底上げが行なえた
  • 行き詰っている先生に声掛けを行ない、個別にフォローすることで、離職を思いとどませることができた
  • 各クラスとの連携を目的に定期的なミーティングを行ない、バラバラに行なっていた作業をまとめることで作業効率をあげた


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【場面別】保育士が記載する自己評価の例文

ここでは、「誰とかかわる場面か」で分けて例文をご紹介します。ご自身が重点的に取り組みたい点があれば、そこにフォーカスを当てて目標設定や評価を行なうと良いでしょう。

【子どもとのかかわり】の場面

目標

  • 保育中はどんな時も子どもの目線を意識してコミュニケーションをとるようにする
  • 子どもが、自身の成長を実感し達成感を得られるような働きかけをする
  • 子どもの興味関心を具体的な場面ごとに書き留め、その子の感じていることを言葉で表現できるようになる

振り返り

  • 子どもとコミュニケーションを取るときは、必ず目線の高さを合わせて目をみて笑顔を心がけた
  • ドキュメンテーションを導入したことで、大人だけでなく子ども自身も振り返りを行なうことができ、新しい発見につなげることができた。
  • できたことを子どもと共に喜ぶとともに、子どもの心の動きややる気につながる軸を見つけられるように、記録の振り返りを行なった

【保護者とのかかわり】の場面

目標

  • ドキュメンテーションを使い日々の遊びの発展を保護者と共有することを意識し、保護者と共につくりあげる保育を目指す
  • 知らなかった子どもの新しい面を見つけることを目標に、保護者とのコミュニケーションの中で子どもの思いや育ちについて語り合う

振り返り

  • 短い時間の会話でも保護者から何かを引き出せるように、園では子どもは〇〇だったが自宅ではどうですか?という話し方を心がけた
  • ドキュメンテーションに寄せられた保護者のコメントは、保護者とのコミュニケーションの一環と考えて、その後の保育やドキュメンテーションが返事となるように意識して作成した
  • 保護者から厳しい指摘があったときも「教えてもらえてうれしい」という気持ちを前面に出すようにし、その後の関係構築がより深まった

【職員同士のかかわり】の場面

目標

  • 年次や役職に関係なく、同僚の良いところを探して取り入れる
  • 悩みで退職する人が出ない、温かい雰囲気の園を作り上げる
  • 指摘や助言、発言がしやすくされやすいように、自分の気持ちに壁を作らないようにする

振り返り

  • すぐには納得できない意見や会話があっても、相手を否定せず、その背景を想像することで、自分自身は深い学びや想像に繋がった点が良かった。相手との関係にも、良い影響が出たと思う。
  • 目が合わない職員には特に意識して声を掛け、他愛無い雑談をするようにした。その日に気が付いた嬉しいことを共有するなど、楽しい気持ちになれるようにした。
  • 相談を受けたとき「一人の悩みはみんなの悩み」だと伝えることで、相手に「ないがしろにされていない」印象をあたえるようにした。「みんなの悩み」ということで、自分自身も「一緒に解決しよう」という気持ちになれた。
  • ちょっとした受け答えでも、相手が気持ちよくなるように柔らかい応答を心がけ、子どもや保護者と話すとき以上に笑顔を心がけた。


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まとめ

繰り返しになりますが、自己評価は、子どもの理解を深め保育の質を高めるためのものです。過去の保育に点数をつけるものではなく、未来の保育に活かしてこそ意味があります。自己評価の仕組みを使い、次のよりよい保育の実践につなげていきましょう。

振り返りを行なう時にはたくさんの記録が役立ちますが、近年広がりを見せている「保育のドキュメンテーション(子どもの発達過程を記録する動き)」も、大変有用です。よりよい保育の実践に向けて自己評価を活用することで、5年後10年後には驚くほど高く成長したご自分と出会えることを願っています。


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