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コラム

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#日々の保育

作成日 2018/12/30

更新日 2021/03/31

保育所保育指針の改定後に押さえるポイントを紹介

2018年4月に「保育所保育指針」が改定されました。保育の現場で運用されるため、保育士として働いている人やこれから保育士を目指す人にとって大きなかかわりを持っています。
併せて知っておきたいのが、「幼稚園教育要領」と「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」も改訂されたこと。

3つの法令は告示する管轄が異なりますが、幼児教育で資質や能力を育てることは共通の柱です。5つの領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)に基づいた保育によって、幼児期の終わりになっていてほしい姿が10項目に分けて示されています。

およそ10年ぶりの改定となった新しい保育所保育指針ですが、保育の現場はどのように変わるのでしょうか。今回は改定のポイントを詳しく解説していきます。


目次


そもそも保育所保育指針とはどういうもの?


改定されたポイントについて解説する前に、そもそも「保育所保育指針」とはどんなものなのかおさらいしておきましょう。

保育所保育指針は厚生労働省が告示していて、保育所での保育内容や運営について基本的なことが定められたものです。保育所ではそれぞれが掲げる理念に基づき保育を行なっていますが、子どもたち全員のことを考慮すると一定の水準が必要になります。
全国の保育所が共通して取り組むアウトラインとして使われるのが保育所保育指針です。

約10年ぶりに改定され2018年4月に施行 

保育所では保育所保育指針に記載されている基本事項に基づいて保育を行ないます。
子どもたちの健康や安全の確保をしながら、毎日の生活や発達していく過程を見通した保育内容を構成して実施することが必要です。

保育所保育指針は保育所の基準となるものですが、保育所ごとの理念に基づいた保育も重要と捉えています。
保育所保育指針は様々な内容が書いてありますが、それぞれ、「守らなくてはならないもの」、「努力するもの」、「基本的な原則として独自で取り組むもの(園毎の理念や環境などに)」に分けてとらえることができます。

また、同時期に改訂された法令に文部科学省の「幼稚園教育要領」と内閣府の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」があります。
3つの法令に共通する柱となるのは「幼児教育において育みたい資質・能力」です。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に示された10の姿が保育の指標とされています。

参考:厚生労働省 保育所保育指針
参考:厚生労働省 保育所保育指針解説



保育所保育指針が改定された背景


保育所保育指針は1965年に決められてから1990年と1999年に改訂され、2008年の改定時からは厚生労働大臣により告示されるようになりました。
2018年の改定はおよそ10年ぶりですが、なぜ改定することになったのでしょうか。背景について解説していきます。

子育てを取り巻く環境と保育の重要性

保育所保育指針の改定には、2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」が関係しています。
1~2歳児を中心に保育所を利用する児童が増加した影響もあり、保育にかかわる状況は大きく変化しました。
一方で、核家族化や地域のつながりの希薄化などによって、周囲の社会から子育てへの協力を得ることが難しくなっているのが難しくなっています。

孤立によって育児に不安を抱いたり、負担に感じたりする人が多く、児童虐待の相談件数も増加していることが社会問題となっています。
そんな中、乳幼児期に感情面がどのように成長していくかということが、大人になったときの生活に影響を与えることが明らかになってきたのです。
保育所での幼児期の経験が長期的な影響を与えることを背景に、保育所の役割の大きさが重要視され保育所保育指針が改定されました。



保育所保育指針の5つの改定ポイント

保育所保育指針の5つの改定ポイント

  1. 乳児・1歳以上3歳未満児の保育内容の充実化
  2. 保育所を幼児教育施設として積極的に位置づける
  3. 子どもの健康や安全への配慮と大きな災害に対する備え
  4. 子育て支援の重要性の記載
  5. 保育士をはじめとする職員のキャリアパスと研修の実施

保育所保育指針の改定は、基本的な5つの方向性を元に議論が進められました。それぞれの方向性について詳しく解説するとともに、変更点をまとめました。


1.乳児・1歳以上3歳未満児の保育内容の充実化

方向性のひとつ目は、3歳児未満の子どもに対する保育の重要性を明確にすること。0歳~2歳児になるまでの間は、心身が発達する基盤が作られる大切な時期です。
周囲のものや人に興味を持ってかかわろうとする姿が、学ぶことへの出発点です。乳児期の保育内容を整理して、保育現場でも取り入れやすくなるようにしました。


2.保育所を幼児教育施設として積極的に位置づける

ふたつ目は、保育所の位置づけです。

「幼保連携型認定こども園」や「幼稚園」と並んで、保育所を幼児教育を行なう役割を持つ施設としています。整合性を図るため、「幼稚園教育要領」と「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」も改訂されました。
また、幼児期の終わりまでに育っていてほしい姿を明確にすることで、保育計画の作成・実行・評価を求めています。評価を反映させて改善を進められるように記載内容を充実させました。


3.子どもの健康や安全への配慮と大きな災害に対する備え

3つ目は、子どもへの配慮と防災に関してです。

子どもの生活環境や生活体験は、地域や家庭によって異なります。乳幼児一人ひとり、健康状態や発育の状態が異なるので、それぞれに応じた健康支援や食育への取り組みを推進するものです。

また、災害発生時における保育所の役割を想定して、保護者との災害対応共有や関係機関と連携した体制作りも重要なポイントです。
食物アレルギーなどアレルギー疾患への配慮や、保育所内での事故防止のため関係機関との連携に焦点が当てられています。


4.子育て支援の重要性の記載

4つ目は子育てに対する支援の重要性に関してです。

さまざまな保育ニーズを考慮して、改定前の「保護者に対する支援」を「子育て支援」に改めました。保護者への子育て支援は、家庭の事情を踏まえ、保護者や子どものプライバシーを守りながら行ないます。
ほかにも、保護者が保育活動に積極的に参加するように促すことや、特別な対応が必要な家庭への個別支援に関する事項を新たに記載しています。

また、地域の関係機関との連携や協力によって、一時預かりなどの子育て支援を行なうことが記載されています。


5.保育士をはじめとする職員のキャリアパスと研修の実施

5つ目は保育所の職員の資質や専門性に関してです。

保育所はいろいろな機能や役割を担っているため、職員の資質や専門性の向上が求められています。保育士や職員に対しての研修機会を充実させることが重要です。
職位や職務内容に応じたキャリアパスに合わせて、研修計画の作成を行なうことも求められます。「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」を活用するなど、方向性や方法について明確にしました。



保育所保育指針の改定で保育所や保育士に求められること

保育士の定義は児童福祉法で規定※1されており、保育指針の改定があっても本質や求められるものが変わるわけではありません。

※1児童福祉法第18条第4項「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。」

今回の改定では、児童福祉法の規定を前提とした上で、従来から求められていたものがより明確にされたと考えるとよいでしょう。

専門性の向上

ポイント5にて説明したとおり、保育所の機能や役割を果たすために職員の専門性を向上させることが必要です。子どもの最善の利益を考慮しながらより良い保育を行なうために、日頃から保育者がお互いに勉強をし合い、さまざまな方法で学び続けることが求められます。

施設長やリーダーは、学ぼうとする意識や学びやすい雰囲気を作り出す工夫が必要ですし、 学んだり身につけた内容を園で共有し、園全体の財産とすることも大切です。

子育て支援の更なる工夫

今回の改定では、在園児の保護者だけでなく地域の保護者にも子育て支援を行なうことが、改めて示されました。
保育士は、保育所の特性を活かして子育て支援を行なうことが求められます。

さまざまな悩みを持つ保護者を受け止めるための「保護者との相互理解」や、地域の保護者が頼れる「開かれた子育て支援拠点化」のために、各園でさらなる工夫が必要といえるでしょう。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」10個

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」とは、卒園までにはぐくまれていてほしい資質や能力を具体的に10項目に分けて示したものです。
保育士は10の姿を頭に置きながら、子どもたちへの援助や指導を行ないます。すべての到達を求めるものではなく、子どもが発達する様子に合わせて導いていくことの積み重ねが大切です。

また、小学校との連携によって、子どもの姿を共有しておくことも重要なポイント。保育士から小学校の教師に子どもの成長を分かりやすく伝えるためにも「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」が役立ちます。
それでは、10の姿について詳しく見ていきましょう。


1.健康な心と体

子どもは保育所での遊びや生活の中で、体を動かす楽しさや必要な習慣、周囲に対する態度を身につけていきます。やりたいことに向かう充実感や、繰り返し挑戦すること、体を目一杯動かして活動することなどを学ぶのです。

卒園を控えた年度の後半くらいになると、自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しを持って行動する姿が見られるようになります。
保育士は、子どもが主体的に活動できる環境を作ることが必要です。


2.自立心

子どもは保育所での生活において保育士との信頼関係を築き、自分らしさを発揮していきます。信頼している保育士に支えられることによって、苦手なことも最後まで行なう体験を重ねていくのです。
そのうちに自分から取り組もうとしたり、やり遂げたことで満ち足りた気持ちを実感したりします。
自分で難しいことに挑戦し周囲から認められることで自信がつくので、保育士は子どもが主体的に生活できるようサポートすることが大切です。


3.協同性

子どもは思いを伝え合うことや試行錯誤によって、共に活動する楽しさや共通の目的を実現する嬉しさを覚えます。ほかにも、悔しさや喜び、悲しみなどいろいろな感情を体験することが、友達との関係を深めることにつながるのです。

協同性は保育士や周りの子どもたちとかかわりを深めるうちにはぐくまれていくもの。お互いのいいところを認め合える関係を作ることが大切です。
保育士は子どもたちの関係性や状況に応じたサポートが求められます。


4.道徳性・規範意識の芽生え

道徳性や規範意識は、自分の気持ちや考えを表現したり、友達とぶつかり合ったときにお互いが理解し合う中で育っていきます。してもよいことと悪いことがあることを学び、考えながら行動するようになるのです。

卒園を控えた時期になると、周りの人の気持ちに共感したり、相手の目線に立って考え行動したりする姿が見られるようになります。保育士は子どもが気持ちに折り合いをつけられるように導き、支えることが必要です。


5.社会生活とのかかわり

子どもは保育所で生活しながら保護者以外の人ともかかわりを持つようになり、社会生活とのつながりを広げていきます。

集団生活を過ごす中で重ねていくのが、友達の保護者や地域の身近な人と触れ合う体験です。人との接し方を学んでいくうちに、相手の気持ちを考えたり地域に親しみを感じたりできるようになります。
関心を持ったことに積極的にかかわっていけるように、保育士は子どもが自分の関心に応じて得た情報を、遊びに取り入れやすいよう設定を工夫してあげることが大切です。

6.思考力の芽生え

思考力が芽生えるきっかけは、周囲に対する好奇心。新しい発見や面白くする方法を考える中で育っていきます。

子どもは物の性質や仕組みに「どうして?」と興味を持つもの。予想したり確認したりする経験をとおし、自分の周りにあるものとのかかわりを学んでいくのです。
また友達の考えに触れることで自分との違いに気がつき、もっとよい考えにしようと考える姿を見せるようになります。
保育士は子どもから新しい考えを引き出せるように導くことが大切です。


7.自然とのかかわり・生命尊重

保育所にある身近な動植物などと触れ合いながら、子どもは自然に対し親しみを深めていきます。四季による自然の変化に疑問を抱き自分で考えて確かめるなど、自然とのかかわりは多様です。

また動物が生まれてくることに感動したり、死に接して命の大切さに気がついたりします。ぬいぐるみのようにかわいがるのではなく、命ある生き物として扱うことを学ぶのです。
保育士は自然に触れられる環境を作り、動植物を愛でる気持ちを育めるようにサポートします。


8.数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

子どもは保育所で遊んだり生活したりする中で、数字や図形、文字などに興味や関心を持つようになります。

形や大きさ、長さがわかると、組み合わせを考えながら遊び道具を作ることができます。 また、数を数えられるようになると、多い少ないを判断できるようになります。
さらに、文字の役割がわかると友達に手紙を書く姿が見られることも。
保育所内にマークと文字が入った標識を置くことで、どんな場所か理解するきっかけになります。


9.言葉による伝え合い

子どもは、保育所で絵本や物語を読んだり自分の気持ちを表現したりする中で言葉を身につけていきます。友達や保育士など、相手の話を聞くことも大切です。言葉での伝え合いは、保育全体の中ではぐくまれていきます。

言葉のやりとりを楽しんでいくうちに、伝わる喜びを感じたり相手への理解や共感を覚えたりしていくのです。保育士は、子どもたちの話が伝わり合うように、言葉を加えるなどのサポートをします。


10.豊かな感性と表現

幼児期に豊かな感性と表現を身につけるには、心が動く出来事に対してイメージを膨らませ表現することを重ねるのがポイント。
豊かな感性を持つ子どもは、自由なイメージを持ちいろいろな表現を楽しむようになります。

言葉だけでなく音や動きで伝えたり、ほかの誰かを演じたりしながら表現方法を増やしていくのです。保育士は子どもたちがイメージやアイディアを浮かべやすくするために、環境を整えてサポートします。



幼児期の終わりまでに育ってほしい姿に近づく方法

小学校からのアクティブ・ラーニングも意識して

勘違いしてはいけないのは、「10の姿」は「5歳ごろに子どもはこうなるべき」といった到達目標ではないということ。むしろ、「乳幼児期からの適切な関わりが10の姿につながっていく」ということを、保育者が意識する必要があるのです。いわば、3つの幼児教育機関と小学校がスムーズにつながるために必要な、保育の「視点」や「評価軸」だといえるでしょう。

実は、今回の保育所保育指針の改定と同時に、小学校の学習指導要領も改定されたことを知っていますか? そこでキーワードとなっているのが「アクティブ・ラーニング」。これは「先生に言われたことをやる」という受け身の学習ではなく、子どもたちが主体的・対話的に行う深い学びのことを意味します。アクティブ・ラーニングは、変化の激しい時代を生き抜く子どもたちにとって欠かせない素養を伸ばしてくれるものです。これからの保育士は、目の前にいる子どもたちに寄り添うことはもちろん。小学校以降の教育の変化も視野に入れながら、日々の保育に取り組むことが求められているといえるでしょう。

保育所保育指針の改定ポイントを押さえて保育に取り組もう

新しい保育所保育指針は、保育士にとって保育の基準となるものです。改定された背景にある3歳児未満の子どもに対する保育の重要性や、保育所の位置付け、役割を理解することがポイント。保育士としてやるべきことやキャリアアップに関することも組み込まれています。

また、保育の方向性として幼児期の終わりまでに育っていてほしい姿が示されたことも大きな変更点です。10の姿に基づいて考えることで、どんなサポートをするべきかが明確になりました。

改定した保育所保育指針のポイントを押さえて保育に取り組みましょう。

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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。

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