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コラム

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#日々の保育

作成日 2019/07/30

更新日 2019/09/05

保育園の避難訓練、方法と準備・注意点は?ポイントをおさえて効果的に

避難訓練に必要なもの

保育園で毎月行なわれている避難訓練は、実際の災害時に、適切かつ迅速な対応をするために必要不可欠です。しかし子どもたちがその目的を理解できず、緊張感のない状態で避難訓練に臨んでしまうことも少なくありません。

今回は子どもたちに避難訓練の大切さを伝えるコツや訓練の円滑な運営方法など、保育園での避難訓練をより効果的なものにするためのポイントについてみていきます。


目次
保育園の避難訓練、その目的とねらい
保育園の避難訓練、計画の立て方
災害別避難訓練の方法
保育側が注意すべき避難訓練のポイント
子どもにしっかり伝えるには?教え方のコツと「おかしも」
覚えておきたい災害対策品
子どもたちの安全のためには日頃の備えが大切

保育園の避難訓練、その目的とねらい


避難訓練のねらいを学んで安全を保つ
保育園での避難訓練の最大の目的は「実際の災害時の対処方法を知っておく」ことですが、それだけではありません。子ども、保育士、保護者それぞれの立場で意識しておくべき目的と、ねらいについてみていきましょう。

目的とねらい(1)【子ども】

子どもに対する避難訓練の最大の目的とねらいは「実際の災害時に安全に避難できるようにすること」です。その目的達成のためには子ども自身が避難訓練の大切さを理解し、保育士の話をしっかり聞いて指示に従うことが大切です。

災害時には大人でもパニック状態に陥りやすいため、避難訓練によって、子どもたちがどう行動するべきかを意識させるようにしましょう。


目的とねらい(2)【保育士】

保育士にとって避難訓練の目的とねらいは以下の3点です。

・実際の災害時に冷静な判断ができるようにすること
・子どもたちに適切な指示ができるようにすること
・避難時の問題点を把握しておくこと

避難訓練をしておくことで実際の災害時に冷静な判断がしやすくなり、どのような指示をすれば子どもたちが理解しやすいのかを確認しておくことができます。また避難訓練により、問題点を表面化させ、改善に向け対処することができます。


目的とねらい(3)【保護者】

避難訓練の保護者へ向けての目的とねらいは、「災害時の情報共有をスムーズに行ない、パニックを防ぐこと」です。実際の災害時、保護者が慌てないように

・どのような手段で連絡をするか
・どのような頻度で園から報告をするか
・どこに避難するか
・災害時の引き渡しルール

などを明確にし、情報共有をしておくことが大切です。また災害時には電話回線などインフラの遮断も想定されます。そのような事態が起こった場合に、保育園へのコンタクト方法などをあらかじめ決めておくといいでしょう。


保育園の避難訓練、計画の立て方


避難訓練のスケジュール

避難訓練を効果的にするためには、事前の計画が大切です。保育園での避難訓練は、どのようなことをポイントに計画すればいいのでしょうか。


どんな災害を想定して訓練を行なうか

効果的な避難訓練を実施するために、想定される災害を明確にしておくことが大切です。 避難が想定される災害は、火災・地震・洪水など自然発生的なものから、不審者など人為的なものなどさまざまです。

たとえば地震の避難の場合は「ヘルメットや防災頭巾を着用する」「広い場所へすばやく移動する」、また不審者からの避難の場合は「近隣に助けを求める」など、避難方法や内容に違いがあります。

このように災害の種類によって訓練する内容や必要な道具などが異なるため、避難訓練で想定する災害を明確にし、必要とする災害の訓練を毎月行ないましょう。


計画書・マニュアルの作成

避難訓練では避難訓練計画の作成・保育園職員の役割分担・マニュアル作成とそれに沿った実践的な訓練が大切です。 避難訓練計画の作成の際は「震度6の地震」など想定される災害やその規模を決め、それに基づき被害状況や園児の様子などのストーリーを設定します。

その設定から行動指針や避難経路、訓練によって得られるべきポイントなどゴールを想定して具体的な訓練内容を盛り込んでいきます。

マニュアル作成については経済産業省で発行している「保育施設のための防災ハンドブック」や、自治体ごとに提供されている保育施設用の防災マニュアルが参考になります。 またマニュアル作成において大切なのが、「災害時の役割や対応内容を明確かつ具体的にしておくこと」です。リーダーを中心にそれぞれの役割分担を決め、各自のすべきことを具体的に文書化しておきましょう。

● 災害時の基本対応例

災害の種類具体的対応

火災避難時

・ストーブや暖房を消す
・ガスの元栓を締め、電気ブレーカーを落とす
・コード類を抜く
・ドアや窓を閉める
・幼児クラス以上は、非常ベルが鳴ったら必ず担任のところへ集まる
・乳児の移動には抱っこ紐またはベビーカーを使う
・避難時には軽く息を止めて体を低くする など

地震避難時

・すぐに外へ行かない
・ガラスや物が落ちてくる場所を避けて子どもを一か所に集める
・幼児は机の下に入る など

不審者対応時

・不審者が外にいる場合は室内に避難し、園児が見えないようにカーテンを閉める
・警察に通報する
・近隣へ助けを求める など

● 役割分担と役割の例

役割乳児クラス幼児クラス対応

本部

園長

園長

・被害状況の把握・避難実施方法決定
・避難経路の安全確認・全体への指示
・二次災害の情報収集

・自治体への連絡・確認

誘導

佐藤

鈴木

・園児の安全確保
・園児への指示
・園児の避難場所への誘導
・非常品の持ち出し

安否確認

田中

渡辺

・園児の人数・負傷状況確認、本部への報告

・トイレ、園庭など園内残留園児の確認

救護

川島

黒田

・負傷者の救護、応急手当
・医療機関への連絡
・必要に応じ園児の医療機関への帯同

消化

島田

小山

・ガスを閉める
・電気ブレーカーを落とす
・初期消火活動
・ドアや窓を閉める

そのほか本記事の最後にまとめてありますが、避難時に持ち出す物などもリスト化しておくと実際の災害時に迷わず持ち出すことができます。


年間計画書の作成方法

多くの保育園では月1 〜 2回程度、年間12 〜 20回前後に渡って避難訓練が実施されています。「地震」の避難訓練ひとつとっても「震度4の場合」と「震度7の場合」では被害状況も異なり、避難方法や手段にも差があります。

このように、同じ災害でも状況相違の想定や一度では訓練しきれないポイントを分け、年間に渡って避難訓練計画に盛り込んでいくようにしましょう。
年間計画書に盛り込むべき内容の例を紹介します。

● 避難訓練 年間計画書項目例

・実施予定日
・訓練のポイント(消火訓練・総合訓練・引き渡し訓練・不審者対応訓練など)
・訓練場所(室内、屋外など)
・想定災害(地震・火災・台風など)
・想定災害規模(震度6の地震で調理室より出火、散歩で公園遊びの最中に震度4の地震発生など)
・それぞれの訓練目的
・それぞれの訓練のねらい
・その他特記事項や留意点など

災害別避難訓練の方法


消火栓

それでは、災害別に避難訓練の具体的なポイントについてみていきましょう。


【地震】の避難訓練

地震大国日本に住んでいる以上、必ず起きる地震。保育園での避難訓練も地震を想定したものが多く、また訓練をしっかりしておくことで被害や二次災害を最小限におさえられます。地震の避難訓練ポイントは次の通りです。

・隠れる
・頭を守る
・避難経路の確保
・ガスの元栓を締め、ブレーカーを落とす

実際の地震発生時には、揺れを感じたら保育士は園児に机の下などへ身を隠すようにすばやく指示し、園児の体の一部が机やテーブルの下から出ていないかなどをチェックします。とくに園児の頭の位置に留意しましょう。

また地震による落下物や破損によって、ドアや窓が開かなくなることも考えられます。できるだけ早くドアや窓を開け、避難経路を確保しておきます。火の元となるガスの元栓・ブレーカーも切っておきましょう。


【火災】の避難訓練

自然災害で一番多いのは地震ですが、地震と同時に発生する可能性が高い火災。火災における避難訓練のポイントは次の3点です。

・火元を確認
・風向きを確認
・煙を吸わないよう、水で濡らしたタオルなどで口をおさえる

火災発生時のリスクを最小限にするために大切なことは、「どこから火が出ているか」を把握することです。出火元が特定できたらそこから園児をできるだけ遠ざけ、風向きを確認し風の反対方向へ避難をします。出火元は一か所とは限りません。考えられるすべての火元を確認し、避難経路を確保しましょう。

また、火災の死因として煙による一酸化炭素中毒も多く挙げられます。園児が煙を吸わないようにハンカチやタオルなどを口にあてながら避難させましょう。ハンカチやタオルは水で濡らすと、より煙を遮断できます。


【水害(台風・洪水など)】の避難訓練

台風や大雨が引き起こす水害は、天気予報や警報などである程度事前に起こりうるタイミングがわかるので、対策もしやすいと言えます。子どもたちをできるだけ迅速に保護者へ引き渡すことができるように、台風などが想定される日の保護者の予定を確認しておきましょう。

水害で細心の注意を払いたいのは、大雨による洪水や浸水です。河川や海など水場に近い保育園の場合は、洪水や浸水に備えて高い場所へ移動したり、停電などへの備えをしたりという対策が必要となります。また各自治体から河川氾濫のハザードマップが公開されています。河川氾濫が起きたらどこまで浸水する可能性があるのか、事前に調べておくようにしましょう。


【竜巻】の避難訓練

同様に、竜巻も天気予報や警報などで事前に予測できる災害です。万が一保育園付近で竜巻発生が予測されたら、窓ガラスの破損などに備えてカーテンを締め、窓から離れた場所に園児を集めます。避難訓練でもそのような訓練をしておきましょう。


【不審者】の避難訓練

保育園の門は施錠され、出入りは保護者など関係者に限定されていますが、大人がその気になれば、容易に門を越えて保育園に侵入できてしまう場合もあります。また近所づきあいが疎遠になるなど、近所の大人が子どもを見守る習慣も減少しています。

不審者との遭遇は予測できませんが、地震や火事同様に園児の意識や知識によって被害をおさえることは可能です。子どもに不審者への対応についてわかりやすく説明するための、「いかのおすし」という標語があります。

【いか】行かない
【の】乗らない
【お】大きな声で叫ぶ
【す】すぐ逃げる
【し】知らせる

知らない人について行かない、知らない人の車に乗らないなど、「いかのおすし」を用いて子どもたちにわかりやすく教え、訓練してみましょう。そのほか不審者対策には、保育者を対象とした「不審者を刺激しない」「近隣への助けを求める」なども有効ですので、不審者対策の避難訓練にはこれらを取り入れましょう。


保育園で注意すべき避難訓練のポイント


避難の重要要素

避難訓練は子どもが通う各学校や幼稚園・保育園で義務付けられていますが、学校などに通う年齢の子どもとは異なり、保育園の子どもたちは自発的な判断や行動ができません。災害時に子どもたちが頼れるのは保育士だけという状況で、避難訓練において気をつけるべきポイントはどのようなところにあるのでしょうか。


保育者同士の相互連携

災害時には連携プレーが大切です。それぞれ保育者の役割が明確化されていても、連携がうまく行かないと、せっかくの役割が機能しません。各自の役割や立場で、情報や行動をどこからどこへつなぐのか、しっかりと確認をしておきましょう。避難訓練後は、うまく連携していたかどうかについて検証することも大切です。


アナウンス方法

避難訓練は命にかかわる大切な訓練ですので、子どもたちにもそれを理解させ、真剣に取り組むよう促すことが必要です。聞いたことをきちんと理解し、自分で正しい判断・行動をすることが難しい月齢である保育園の子どもたちの避難は、どうしても難易度が上がってしまいます。
このような月齢の子どもたちに避難訓練の大切さや目的、どう行動するべきかをしっかり理解させるためには保育士の伝え方が重要です。「どのように説明したら子どもたちがわかってくれるか?」「どう話せば子どもたちが興味を持って、自分に直接かかわること、と捉えらえるか」を意識してアナウンスをするように心がけましょう。


子どもにしっかり伝えるには?教え方のコツと「おかしも」


笑顔になる子ども

子どもたちにわかりやすく伝えるためには、子どもが知っている・興味がある言葉を使うことが有効です。防災においては、子どもにわかりやすく伝える「おかしも」の約束があります。

【お】おさない
【か】かけない(走らない)
【し】しゃべらない
【も】もどらない

ただ伝えるだけでなく、なぜこの「おかしも」がいけないのか、理由もしっかり説明しましょう。


絵本や紙芝居を使って

子どもには言葉だけでなく、絵や動きがあると伝わりやすくなります。先に挙げた「おかしも」をカードや紙芝居を使って伝えることも有効です。災害時の避難に関するおすすめの絵本や紙芝居には、次のようなものがあります。

『「おかしも」はかじのおやくそく』 礒 みゆき 脚本・絵/原本 憲子 監修/童心社
『はなちゃんの はやあるき はやあるき』 宇部 京子 さく/菅野 博子 え/岩崎書店
『じしん・つなみ・たいふう』 川崎 大治ほか 脚本/降矢 洋子ほか 絵/童心社

ほかにも防災や防災訓練の大切さを伝える絵本や紙芝居はたくさんあるので、参考にしてみてください。 また保育士が劇仕立てで伝えれば、子どもたちも興味を持って聞いてくれるでしょう。これらは一例ですが、ただ口で伝えるだけでなく、子どもたちが真剣に避難訓練に取り組んでくれるよう、さまざまな方法でアプローチをしてください。


覚えておきたい災害対策品


防災グッズ

災害がいつ発生しても大丈夫なように、非常袋を用意していつでも持ち出せるように備えておきましょう。備えておきたい災害対策品をご紹介します。

役割や用途日常置いておく場所用品

本部・安否確認

事務室

・園児名簿(緊急連絡先が記載されたもの)
・懐中電灯・ヘッドランプ
・行政などの連絡先一覧
・避難用地図(避難経路をあらかじめ記入しておく)
・応急手当のための救急用品
・懐中電灯(ヘッドランプがあると便利)
・予備電池
・ラジオ
・無線機・スマホ・充電器
・拡声器やホイッスル
・旗など目印になるもの
・ガムテープ
・油性マジック・筆記用具
・現金(小銭も)

誘導・救護

保育部屋

・防災頭巾やヘルメット
・マスク
・応急手当のための救急用品
・抱っこ紐・ベビーカー
・軍手
・ビニール手袋
・ロープ
・ブルーシート
・防寒具(毛布・ブランケットなど)
・着替え
・紙オムツ
・タオル
・非常食(缶詰や乾パン、レトルト食など)
・ミルク
・飲料水(1日3リットル目安/人)
・哺乳瓶
・おしりふき
・おまる
・ティッシュペーパー・トイレットペーパー
・ビニール袋
・毛抜き(ガラス破片などを取り除く)
・氷砂糖やお菓子
・カセットコンロ・ボンベ
・紙皿や箸
・ランタン

そのほかあると便利なもの

-

・パンクレス自転車、避難車
・テント


子どもたちの安全のためには日頃の備えが大切


保育士と子どもとのきずな

避難訓練の大切なポイントは、「子どもたちに避難訓練の大切さと目的を理解してもらうこと」「保育者が災害発生時に冷静に対応できるよう、対処について準備しておくこと」です。また災害時の対応への意識付けは、避難訓練時だけでなく普段から子どもたちに伝えておくと、避難訓練もスムーズになります。

災害時に子どもたちを守れるのは保育士であることを心に刻み、ポイントをしっかりおさえて避難訓練に取り組んでいきましょう。

「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスでは、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。

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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて、園長経験6年、保育経験延べ30年のベテラン保育士。
当社で園長職を勤めたのち、当社運営の保育施設の総合管理を担当。現在は研修など保育士の人材育成に注力している。

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