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コラム

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#保育士の働き方

作成日 2019/08/16

更新日 2023/04/26

保育士におすすめ【絵本専門士】とは?なり方・仕事の魅力について解説!

本との出会いでほほ笑む子ども


絵本の魅力や素晴らしさを、豊かな感性や読み語りスキルで伝えるのが『絵本専門士』です。できて間もないですが、注目度が高い資格です。絵本専門士の資格があれば、絵本に関する高度な知識をもとに、技能と感性を兼ね備えた絵本の専門家として、普段の保育でも力を発揮できます。どのような資格なのか、どうやって取得するのか、取得に必要な資格はあるのか、など気になるポイントをご紹介します。

目次


保育の幅をさらに広げる! 絵本専門士とは?


本棚に並ぶ沢山の本

毎日の読み聞かせのなかで、もっと上手に読めたらいいのに、もっと子どもが興味を持てる絵本が選べたらいいのに……と思うことはありませんか?絵本専門士は、そんなあなたの思いを満たしてくれる資格かもしれません。


絵本専門士とはどんな資格?

絵本専門士は2014年に国立青少年教育振興機構に新設された、比較的新しい資格です。そのため、よく知らないという方も多いかもしれません。公式サイトには、以下のように記載があります。


絵本専門士とは、絵本に関する高度な知識、技能及び感性を備えた絵本の専門家です。今日、子供の読書活動を充実させることが喫緊の課題であり、その実現にあたっては、読書に関する専門的知識や実践力を持った指導者を養成し、その指導者が学校、家庭、地域において様々な読書活動を支援することが大切です。


~中略~

絵本の可能性やその活用法を、学校や家庭のみならず地域社会全般に普及させるとともに、実際に絵本の読み聞かせやワークショップをはじめ子供たちの読書活動の推進に携わる、絵本の専門家(絵本専門士)を養成する必要があることから、創設された制度です。

引用:独立行政法人 国立青少年教育振興機構「絵本専門士とは

絵本は言語力や感性、文脈理解力、物事の理解力を発達させるものだけでなく、豊かな人格形成のための重要な役割を担っています。そんな絵本に関する知識や読み聞かせの技術を持ち、豊かな感性を持っている、ということを証明する資格が絵本専門士です。 すでに200名以上の資格保有者が全国にいます。資格保有者は保育園やおはなし会、ワークショップ、医療機関など多岐に渡って活躍しています。

近年、子どもの読書量の低下や読書活動をいかに充実させていくかが大きな課題となっています。平成28年度委託調査「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」*によると、小学生以降、学年が上がるにつれて読書量は低下しています。家庭の蔵書数の少なさ、スマホの普及による動画視聴量の増加などが原因とされています。これについては、読書についての専門的な知識や実践力を持った指導者を養成すること、保育園や地域施設などさまざまな場面で幼い段階からの読書活動を支援していくこと、などが解決策として挙げられています。

こういった課題を受けて、幼い頃から豊富な絵本にふれること、子どもの成長を促すものとして地域社会全体に絵本を普及させることが、絵本専門士の役割といえるでしょう。また、読書活動の支援だけでなく、絵本の読み聞かせやワークショップ開催を通じた指導者養成という部分も担っています。

*平成 28 年度 文部科学省委託調査 「子供の読書活動の推進等に関する調査研究


絵本専門士はどんなことに活かせる?

絵本専門士の資格を取得することで、資格を取る過程で得た、絵本の知識や読み聞かせの技術を日々の保育で活かすことができます。夢中になれるストーリーの絵本を選んでくれる保育士、引き込まれる読み方をしてくれる保育士は、子どもたちにとってとても魅力的です。また、より質の高い保育を絵本を通じて日常の中で提供し続けることに役立つでしょう。 そして保育園以外でも、先ほど書いたように地域住民や子育て世代に向けて読み聞かせ会を開いたり、絵本に関するセミナー講師として登壇したり、福祉施設に出向いて絵本の良さを伝えたり、と活躍の場を広げることができます。


絵本専門士になるメリットは?


三匹の子豚の絵本

忙しい日常の保育をしながら、時間をつくって勉強をして資格をとろうと思うと、とても大変かもしれません。しかし、絵本専門士になるメリットはたくさんあります。


メリット⑴  子どもの発達にあった絵本を選ぶことができるようになる

何十万冊とある絵本の中から、目の前の子どもたちの個性や発達に応じて最適な絵本を選ぶ、というのはとても大変です。子どもたち皆が同じ絵本に興味を持つとは限りませんし、年代やクラスの雰囲気によっても最適な絵本は違ってきます。 保育士自身の絵本に関する知識や、今までの経験も重要であり、絵本専門士の資格を取得する過程で得る知識はここで活かすことができます。


メリット⑵  絵本の読み聞かせが上手になる

絵本専門士の資格に興味がある方のなかには、絵本を好きな方、読み聞かせが得意な方などが多いのではないでしょうか。資格取得のためには、絵本を読む表現力に関してもしっかりと学びを深めます。そのなかで抑揚のついた読み方や、子どもを集中させるための技術が身につき、さらに絵本の読み聞かせが上手になっていくのです。 どう声を出せばいいか、効果的に絵本の面白さを伝えるために、音楽や人形、スクリーンなどをどう活用していけばいいか。これらの技術は、子どもたちにも常に楽しい絵本の読み聞かせの時間を提供できます。


メリット⑶  絵本の良さや面白さを伝えることができる

すべての絵本は、読み手に対して何かしらのメッセージを発しています。子どもたちはそのメッセージを受け取ることで、絵本の面白さを感じ取り成長の糧にしていきます。 しかし、まだ発達途上の子どもたちにとって、文章や絵のみを介してメッセージを受け取ることは難しく、補助が必要な場合もあります。このような場合、絵本専門士としての学びが絵本のメッセージを伝えるための大きな役割を果たします。子どもたちにとっては難しく、イメージの湧きにくいものも、感性豊かな伝える技術を持つ絵本専門士が間に入って伝えることで、絵本の魅力をまっすぐに受け取ることができるのです。

また、保育園以外の現場でも、資格を活かして活躍できます。絵本のおはなし会の開催や、医療機関、福祉施設での読み聞かせ、絵本にかかわる研修会での講師など、多くの活躍の場があります。自発的に開催するのはもちろんのこと、絵本を推進する団体やグループが主催するイベントやニーズに合わせて、絵本専門士への仕事依頼もあります。多くの仕事を通じて、絵本の良さや面白さを伝えられるのです。


絵本専門士に求められる主な資質や能力は?


赤ずきんちゃんの絵本

絵本専門士として、絵本の面白さや素晴らしさを伝えていくためには、さまざまな資質や能力が求められます。


絵本専門士に求められる3つの資質

まず、絵本専門士は大きく3つの資質が求められます。

資質1 知識

絵本と子どもに関する数多くの知識。絵本の歴史や教育と絵本の関係、子どもに関する専門的な知識、児童福祉や児童心理など多岐に渡る。

資質2 感性

豊かで魅力ある人間性、絵本からメッセージを読み解く感性。

資質3 技能

手遊びや絵本の読み語り、創作活動など絵本の素晴らしさを伝えるための基礎的なスキル。

これらの資質は、絵本専門士となるための絵本専門士養成講座のなかでもしっかりと学び、深めていくものとして定義されています。


絵本専門士に求められる6つの能力

また、次のような6つの能力も求められます。

能力(1) 選択力

子ども一人ひとりの発達段階に応じて、最適な絵本を選択する力。

能力(2) コーディネート力

絵本や絵本がベースとなった活動を通して、個人やグループをネットワークのように結びつけ関係構築をしていく力。

能力(3) 企画力

絵本に関するワークショップや読み聞かせ、おはなし会のようなさまざまな事業を企画し、さらに実施していく力。

能力(4) コミュニケーション力

絵本の素晴らしさを伝えるにふさわしい、相手との適切な意思疎通ができる力。

能力(5) 表現力

物事を論理的に、わかりやすく相手に説明する力。また、他者に共感する力。感じ取ったことをわかりやすい言葉や身振り手振りで伝えられることも含まれる。

能力(6) 指導力

絵本に関する研修などの講師として指導、アドバイスする力。ワークショップなどを運営する力。

絵本専門士として絵本の素晴らしさや面白さを伝えていくためには、これらの資質や能力は欠かすことはできません。豊かな知識と感性を持ち合わせたうえで確かな技術力も身につけていること、絵本専門士としてリーダーシップを発揮しながらさまざまな企画を立案・実行し、企画を成功させるために多くの人とかかわりながら良好な関係を築けること。さらに、最適な絵本が選択できること。これらすべてが必要とされた上で、さらに時間をかけて絵本の知識を深く身につけていくのです。 資格取得後は、これらの資質や能力を活かしながら、絵本専門士としてのキャリアを積んでいくことができるでしょう。


絵本専門士の資格のとり方


子どもと絵本との出会いを作る絵本専門士

絵本専門士の資格を取得するには、一定の資格や知識、実務経験が必要です。そのうえで、応募、選考、養成講座受講、という段階を経る必要があります。


絵本専門士の資格取得の流れは?

絵本専門士の資格を取得するためには、まずはインターネットで申し込みます。毎年2月初旬から募集を開始し、3月中旬が締め切りです。応募期間内にエントリーシートに記入して、提出する必要があります。エントリーシートには、

・個人情報
・所属団体
・受講資格の有無
・受講資格にかかわる活動歴
・受講動機(400字程度)
・認定後に活動したいこと(400字程度)

などを入力します。

その後、エントリーシートをもとに選考が行なわれ、5月ころに養成講座受講者が決定します。 養成講座受講者決定後は、受講料の納付を経て、6月中旬から講座が始まり、約8か月かけて絵本や子どもに関する知識、おはなし会やワークショップの企画運営スキル、豊かな感性などのカリキュラムを学びます。授業時間は50時間程度で、授業形態は講義や演習などさまざまです。

全授業時間終了後は、絵本専門士に必要となる資質や能力を備えているかを測るため、修了課題があります。この終了過程では、今後どのような場で活躍していくのかを相互で語り合う、ディスカッションを行います。これらの段階を経て、晴れて絵本専門士になれるのです。


絵本専門士の資格取得のための応募資格は?

この資格は、そもそも絵本に関する専門家を養成することを目的としています。そのため、すでに絵本に関する一定の知識がある人、実務経験がある人を資格取得の前提としています。

⒈ 子どもや絵本に関連のある資格を持っている

保育士や幼稚園教諭資格の保有、司書資格の保有など

⒉ 絵本にかかわる実務につき、原則として3年以上の経験がある

保育士としての実務経験、絵本や児童文学の出版販売の経験など

⒊ 絵本にかかわる活動に携わり、原則として3年以上の経験がある

絵本の読み語りの活動、絵本のワークショップの開催など

⒋ 絵本学や児童文学について研究実績がある

大学院での児童文学研究実績など

この4つのうちいずれか1つ当てはまるのであれば、応募できます。 絵本専門士の資格取得を考える人は、保育現場に携わっている人たちばかりではありません。保育士や幼稚園教諭以外にも、出版社社員や絵本専門店の店員など、さまざまな角度から絵本にかかわる人たちが取得を目指して応募します。そのほとんどが絵本の素晴らしさを伝えたいという強い思いを持つ人たちです。


絵本専門士の資格取得のための受講料は?

受講料は50,000円で、国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されています。

独立行政法人国立青少年教育振興機構
国立オリンピック記念青少年総合センター
〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3-1

絵本専門士の難易度・倍率は?


絵本専門士になるための勉強

絵本に携わる人の注目度が高い絵本専門士への道は、実は想像以上に困難かもしれません。


絵本専門士になるための難易度の高さは想像以上

絵本専門士になるためには、応募資格を満たすだけでなく、エントリーシートによる選考をまずは通過する必要があります。この段階で受講定員の70名の中に選ばれなければ、絵本専門士養成講座を受講できません。 また、受講した全員が絵本専門士の資格を取得できるわけではなく、課題や試験を受けた結果、合格者のみが資格を取得することができます。


倍率の高さも想像以上

万が一落選した場合はまた来年応募しよう、と思うかもしれません。実は2014年の講座開始以降、平均倍率は約8倍です。2018年度は講座受講志望者が700名を超え、倍率は10倍以上となっていて、翌年応募したとしても壁は高く、受講すら難しいのが現状です。そしてこの数字は、養成講座を受講するための倍率です。

このように絵本専門士の資格取得は、想像以上に難しいものです。しかし受講することで、絵本の魅力や素晴らしさをたくさんの人に知ってもらいたいという自分と同じ志を持つ仲間に出会えます。そしてその仲間とともに、よりよい知識を身につけ理解を深められるのです。高いハードルですが、保育士としてのスキルアップのためにもそこを乗り越えていくのは価値ある挑戦ではないでしょうか。


資格を活かしてより魅力的な保育士に


絵本専門士の勉強をして、笑顔になる保育士

絵本専門士の資格を取得することは、保育士としてのスキルアップにつながります。普段の保育のなかで、子どもの発達に合わせた絵本の選出や興味をぐっと惹きつける読み語りができれば、いつもの保育がより質の高いものになります。また、ワークショップなどを通じて保育園以外の場所で活躍することで、人としても一段と成長できます。 絵本の魅力をもっと伝えたい、保育士としてのスキルをもっと伸ばしていきたい、子どもたちにもっと絵本の素晴らしさを知ってほしい、そんな思いがある方は、ぜひ絵本専門士にチャレンジしてみてくださいね。

「わたしの保育」を運営するテンダーラビングケアサービスでは、保育士向けに保育の現場で役立つ無料の研修を随時行なっています。適切な保育のための知識や、子どもたちを喜ばせるレパートリーを増やしていただくためのサポートをさせていただければと思いますので、ぜひご参加ください。

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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。

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