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#日々の保育

作成日 2019/07/09

更新日 2021/09/10

【保育士が実践】絵本の効果的な読み聞かせのコツ・ポイントとは?

絵本を読んでもらう子ども

毎日の保育の中でおこなう絵本の読み聞かせ。効果的におこなうためには、絵本の持ち方や読み方、読み聞かせが終わった後の時間の使い方などいくつかのコツがあります。このコツをつかむことで、より質の高い保育ができるだけでなく、子どもも知識や感性を身につけやすくなります。

今回は、保育のプロとして求められる専門的な絵本の読み聞かせの知識やスキルをご説明しましょう。

目次

保育園での読み聞かせのねらいと効果

精神状態を落ち着ける

親が子どもを落ち着かせる時、最も効果があるのが声を聞かせることであるそうです。よって、読み聞かせは人の声、最も子どもを落ち着かせる道具を使っているので、子どもの精神状態を落ち着けるのに効果があります。

幸福感を与える

子どもにとって自分のために「おとなに絵本を読んでもらっている」ということが幸福感につながります。

脳が活発になる

脳には大脳辺緑系という情動の表出をするところがあります。喜怒哀楽などの感情を生み出し、そこから基本的な行動を決めている大切な部分です。子どもに読み聞かせをするとその大脳辺緑系が活発になることがわかっており、情動を豊かにする効果があります。

好奇心を育む

絵本の読み聞かせによって知らなかったことを知り、関心を持ち、刺激を受けることで、子どもの好奇心を育てます。

豊かな感受性が生まれる

絵本の世界に入り込むことで、主人公や登場人物の気持ちに寄り添うことができるようになり、人の気持ちや人との関わりのうえで大切なことを学ぶことができます。

集団で共有する喜びを知る

複数の子どもに対する読み聞かせであれば、ほかの子どもと一緒に楽しむことや理解することを学び、積極性が生まれるという研究結果もあります。

読み手のリラックス効果も

読み聞かせは子どもたちだけでなく、読み手にも良い効果をもたらします。読み手の前頭前野の働きにより、不安や緊張を抑制し、リラックスできる効果があります。

絵本の読み聞かせのコツ1【読み聞かせ前・基本のコツ】

毎日の保育に欠かせない、絵本の読み聞かせ。コツを身につけるために、まずは絵本の読み聞かせの基礎をあたらめて確認してみましょう。

声の抑揚で絵本の世界を伝える

絵本の読み聞かせは、絵本を子ども自身が読んで理解するものではなく、保育士が読むことで、子どもに絵本の世界を伝えるものです。つまり、主体となるのは絵本と子どもたちです。保育士は絵本の世界と子どもたちとを繋ぐパイプ役、あくまで補佐的な役割であることを理解しておきましょう。

読み聞かせをする際は、ストーリーやキャラクターの心情に合わせて声にある程度の抑揚をつけていきます。ですが、伝えようとするあまり大げさな抑揚をつけるのはおすすめできません。抑揚を大きくつけると、子どもの注目を集められるかもしれません。しかし、大げさな表現を行うことで、子どもにはその表現だけが印象に残ってしまい、絵本が伝えるメッセージに思い至らなくなってしまうことがあるためです。

子どもが引き込まれる声の大きさで

保育士が小さな声で自信がなさそうに読み聞かせをすると、子どもたちは集中して聞くことができません。声を通して絵本のメッセージを伝えているのですから、口をしっかりと動かして、はっきりとした声で読むようにしましょう。 このときに、子どもの様子を見て声を聞き取れているかを確認します。

また、登場人物の場所がどこか、遠くから聞こえる声か、といった場面設定にあわせて声の大きさを変えることで、子どもたちに位置関係の把握をさせることができます。登場人物や場面が何度も変わるときは、理解を促すためにも声の大きさにも工夫してみましょう。

子どもの座る位置を工夫する

絵本の読み聞かせは、子どもたちが集中できる場所を選びましょう。たとえば、子どもが廊下側を向いて絵本の読み聞かせをおこなうと、廊下で動く人や風景が目に入り注意力が削がれてしまいます。また、おもちゃが周りにあふれていると、そちらに気が散ってしまうでしょう。視界に動くものが入らない場所、気が散るようなものが周りにない場所、静かな場所が最適です。

また、絵本に対する子どもの座る位置も工夫が必要です。できるだけ絵本に近い場所に座れるようにしましょう。子どもたちは視力が未発達なため、大人が思っている以上に見えていない場合があります。もし絵本が見えていないようであれば、子どもの人数に配慮した座り方を促す必要があります。どうしても見えにくいように思われる場合は、同じ絵本でも大型絵本を利用して読み聞かせをおこなうこともひとつの手段です。

参考:子どもの視力について
月齢・年齢視力の目安
3か月0.02 ~ 0.03
6か月0.04~ 0.08
1歳0.1 ~ 0.2
2歳0.5 ~ 0.6
3歳67%程度の子どもが1.0以上
4歳71%程度の子どもが1.0以上
5歳83%程度の子どもが1.0以上
*広島医師会 子どもサポーターズ 「眼科 3歳児検診へのお誘い」より

集中を妨げない絵本の持ち方を

絵本の持ち方も大切です。子どもたち全員が見えるように、絵本の角度に注意しましょう。慣れていないと、保育士が絵本を読むことに集中するにつれて絵本が自然と上を向き、子どもに見えにくくなってしまいます。角度に注意しながら、絵本がグラグラしないようにしっかりと固定しましょう。また、うっかり絵を隠してしまわないように、絵本を持つ手の位置にも注意が必要です。

また、次々にページをめくって読み進めていくのではなく、話のテンポや情景描写に合わせて、ページをめくるようにしましょう。

絵本の読み聞かせのコツ2【読み聞かせ中】

読み聞かせ前の基本を身につけたら、次は実践です。読み聞かせ中は、以下のポイントに注意してみましょう。

アドリブ(オリジナル)を入れないように

読み聞かせをしていると、関係ないセリフを加えたり、子どもたちが笑ってしまうようなアドリブを挟んだりしてしまう……そんな経験があるかもしれませんが、ぐっと我慢しましょう。絵本は、文章と絵のバランスを考えて作られています。そこに保育士の判断でアドリブを入れることで、バランスを崩さないようにしましょう。

それぞれの絵本が持つ、世界観や独特の言葉のリズムをそのまま楽しむことが大切です。

動きをつけるように絵本は動かさない

主人公が走っていたり、大嵐が来たり、という躍動感のある場面で、絵本を大きく動かさないようにしましょう。子どもたちはおのおののペースで絵本の中に浸っているため、絵本を大きく動かすことで集中を妨げてしまう原因になります。絵本の位置はなるべく変えずに、ストーリーを伝えていくことが大切です。

ただし「大きなかぶ」や「だるまさんが」など、絵本の内容によっては絵本を動かすことでその世界観をより楽しめることもあります。時と場合によって読み聞かせ方を使い分けましょう。

質問や絵の説明などを入れて話を中断しない

絵本の読み聞かせの最中は、「どうなるのかな?」「なんでこうなったと思う?」など、子どもに質問をしないようにしましょう。せっかくの子どもの集中が、保育士に話しかけられることで途切れてしまいます。

また、絵の説明や文章の説明を加える、どうしてこの状況になったかの要約をする、といったことも理解の妨げになる場合があるので避けるようにしましょう。

絵本の文章を省略・変更しない

絵本の読み聞かせをしていると、このペースで読み進めると後の活動時間が少なくなってしまう、次の活動に間に合わない、ということが起こる場合もあります。そのような状況でも、絵本の内容は省略しないようにしましょう。また、2歳児にはこの言い回しは難しいから変更する、3歳児には理解できないだろうから文章を変更する、といったことも避けましょう。

先にも書いたように、絵本は文章と絵のバランスを考えて作られており、一つひとつの言葉がメッセージです。メッセージはそのまま子どもに伝えるようにしましょう。あらかじめ文章の省略、変更をしなくてもいいような時間配分を考え、絵本の選び方に気をつけるのも保育士のスキルです。

絵本の読み聞かせのコツ3【読み聞かせ後・その他】

最後に、読み聞かせが終わった後の子どもたちとのかかわり方を紹介します。このポイントを押さえているかどうかで、1度の読み聞かせが子どもたちにとって有意義なものになるのか、絵本をもっと好きになるのかが変わってきます。

感想は聞かない・求めない

絵本の読み聞かせが終わった後、「どうだった?面白かった?」などの感想を子どもに求めないようにしましょう。終わった後は、子ども自身で内容を振り返ったり、想像を膨らませたりして湧き上がる感情を噛みしめています。その中には、子どもではまだ言語化できない感情もたくさん含まれます。感想を求められることで言語化できない歯がゆさを感じ、せっかくの絵本の感情を潰してしまうかもしれません。絵本の世界の余韻に浸る大切な時間を、壊してしまわないようにしましょう。

もしも子どもたちから自発的に感想が出てきた場合は、感想をそのまま受け止めて皆で共有してみましょう。このとき、保育士が子どもの感想に意見しないことが大切です。保育士が間に立って子どもたち一人ひとりの感想を共有することで、子どもは自分以外の感想を知ることができます。子どもの年齢が大きくなるにつれ、自分にはない視点を知ることが大きな学びとなるでしょう。

絵本の読み聞かせを強制しない

絵本の読み聞かせの時間だからと、皆が絵本を見ることを強制しないようにしましょう。絵本に対する興味の有無、好みは一人ひとり違います。集中できる内容も違うでしょう。大人と同じように、子どもも強制されるとどんな楽しいことでも嫌になってしまいます。絵本の読み聞かせが嫌になってしまうと、絵本から得る知識や教訓、語彙力を得るきっかけを逃してしまいます。

ただ強制的に注意を向けさせるのではなく、興味を持てるような絵本を選び、読み聞かせのコツを駆使してみることが大切です。

同じ絵本を繰り返し読んでもOK!

子どもたちが好きだから繰り返し読んでいるけれど、同じ絵本ばかり読み続けていいのだろうか……と思うかも知れませんが、心配はいりません。好きな絵本を何度も読んでもらうことで、子どもたちの感情は満たされるのです。どんなストーリー展開が待ち受けていて、どんな結果になる、ということがわかっていると大人は飽きてしまうかもしれません。しかし、子どもにとっては今後の展開を知っているからこそ面白いこと、繰り返し聞きたいことなのです。

また、同じ絵本を繰り返し読み聞かせてもらうなかで、絵本の中の言葉を身につけ語彙力が養われ、脳の発達が促されます。

※関連コラム:子どもに絵本を読み聞かせる効果とは?習慣化、年別のコツは?

月齢別の絵本の選び方を紹介

>絵本を熟読する子ども

0歳児の絵本の選び方

言葉を覚える前の読み聞かせには、基本シンプルな絵本を選びましょう。絵の構成や言葉、また、絵や言葉のくりかえし方が単純なものが好ましいです。

絵は、色彩の輪郭がはっきりと描かれているものだったり、見開きに一つの場面がドーンと大きく描かれているものがわかりやすいでしょう。言葉は、「さらさら」や「ゴロゴロ」などといった擬態語や擬声語だったり、美しく、わかりやすい言葉が使われている絵本をえらびましょう。

内容は、子どもにとって身近にあるものや遊びがでてくると、興味をひかれやすいでしょう。全体としてリズミカルに読めるものをおすすめします。

1~4歳児の絵本の選び方

言葉を覚えたり、自我が目覚めたりと成長や発達が著しい時期には、楽しいと思える絵本をくりかえし読むことが大切です。

0歳児のころと同じように、わかりやすさ、シンプルさがあり、かつ、少し物語やテーマのある絵本を選ぶとよいでしょう。絵と文章が一致していることはもちろん、しっかりと描写されイメージがつきやすいものや、芸術的な要素を持ったものを選んでもよいでしょう。

声に出して読んだときにリズム感がよいと、親しみをもって楽しく読み聞かせることができます。

5歳児以降の絵本の選び方

読み聞かせを落ち着いて聞けるようになるため、少し長めの物語を選んで、様子をみてもよいでしょう。冒険もので想像力を育てたり、絵本を通していろんな経験をすることでものごとを解決する力を養うこともできます。

また、長めの童話を何回かに分けて読むことで次の展開を楽しみにするということもできます。幼児期に比べて、少し難しかったり、長かったり、いろんな絵本にチャレンジするのもいいでしょう。

読み聞かせにおすすめの絵本

0歳~1歳の子ども向け

ぴょーん 
作・絵:まつおか たつひで 出版:ポプラ社

ページをめくるごとにいろんな動物が「ぴょーん」と飛び跳ねます。シンプルな構成とダイナミックな絵に思わず笑顔がこぼれます。一緒になってとびはねて遊ぶ子どもが目に浮かぶような優しい雰囲気の絵本です。

ページをめくる時に合わせて「ぴょーん」と絵本を上下に揺らしてあげると、わかりやすく、かつ楽しく読み聞かせができそうですね。

3歳~4歳の子ども向け

どうぞのいす
作:香山 美子 絵:柿本 幸造 
出版:ひさかたチャイルド

うさぎさんが作ったどうぞのいすとそれを勘違いしたロバさんから始まる、やさしさの連鎖を描いた絵本。簡単なストーリーとテーマであるやさしさが、この時期のお子様にぴったり。優しい雰囲気のなかでも、はっきりとした色彩の絵がかわいらしい絵本です。

言葉のリズムもなんだか心地よく、読み手にも聞き手にも読み聞きしやすい工夫があります。プレゼントとしても選びやすい絵本になっています。

5歳~の子ども向け

ねえ、どれがいい?
作:ジョン・バーニンガム 訳:松川 真弓 
出版:評論社

タイトルの通り、次々と奇想天外な選択肢が投げかけられる形の絵本。思わず読み手も「う~ん」と悩んでしまいそうなものばかり……。子どもたちの意見に耳を傾けると、「そんな考えがあるのか!」と関心してしまうこともありそうですね。

考えたり想像したりすることが上手になりそうですし、読み手と子ども、子ども同士のコミュニケーションのきっかけにもなりそうな絵本ですね。

コツを身につけて子どもが楽しめる絵本タイムを

保育士として絵本の読み聞かせのコツを身につけることは、絵本のメッセージをまっすぐに子どもに伝えられるだけでなく、子どもの感受性を豊かに育てる糧にもなります。保育園にある絵本には一通り目を通しておき、子どもの前で初めて読むときにも、あらかじめ内容に目を通すといった下準備をおこないましょう。その上で基礎的な絵本の読み聞かせのコツを活かし、有意義な時間にしていきましょう。




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監修者 PROFILE
コラム監修者 和氣 タイ子 Waki Taiko
都内の認可保育園にて園長経験7年、保育経験のべ30年以上のベテラン保育士。現在は研修など人材育成に注力。

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